自分を責める声が止まらない人へ〜土星の元型に憑依されている時の対処法


心理占星術における土星とは、責任・制限・試練を象徴する元型です。元型(Archetype)とは、心理学者のユングが提唱した概念。人間の「普遍的無意識」の中に存在する人類共通の心のパターンです。この記事では、元型の意味と、土星の意味と、土星エネルギーに飲み込まれた時の心の状態・対処法を、ユング心理学の視点から解説します。

土星はどんなエネルギー?

ユング心理学では、惑星は単なる天体ではなく、人類が太古から共有してきた心のパターンを象徴していると考えます。土星は、厳格なおじいさんのような存在です。そして誰の心の中にも厳しいおじいさんみたいな人が住んでいる。

ギリシア神話では「サターン」として有名です。父親ウラノスの横暴に怒った母親ガイアから言われて父親の男性器を切り取った。自分が王となったが、今度は「子供たちに殺される」予言を信じてしまって子供達を飲み込み始めた・・・・血のつながりを「断ち切ってしまう」冷酷な神。それは彼が「恐怖」で動いている神だからだと思います。

占星術を学んでいると、土星はよく「試練の星」「制限の星」と言われます。トランジットで土星が重なる時期は「しんどい時期」として語られることも多い。土星は、「規律」「責任」「現実」「時間」「制限」などを示します。社会のルールや規範を内側に取り込もうとする、心の働きそのものです。

土星には「足りない」ことを前提にしていますから「お前はダメだ」を言ってるようなエネルギーなのです。さらに「ちゃんとしなければならない」「決まりを守らねばならない」「正しくしなくてはいけない」・・・・聞いているだけで息が詰まりそうになりませんか・・

そういう声として、内側から響いてくる土星。その声が適切な緊張感として働いている間はいい。でも、その声が止まらなくなった時。自分を責め続けることがやめられなくなった時。喜びや表現を「意味ないもの」として遠ざけるようになった時。しかしこの声って無意識すぎて自分ではわからないこともあるのですよね・・・。それが、土星の元型に憑依されている状態です。「憑依」という言葉は少し強く聞こえるかもしれませんが、元型に憑依されている時は自我が乗っ取られてしまうから、気づいているけど気づいていない・・みたいな感じになるのです。

心の中にいる複数の声

あなたの心の中に、こんな声が響くことはありませんか?

「またミスした。なんでこんなこともできないんだろう」と責める声。「そんなに自分を責めないで」となだめる声。「もういっそ全部やめてしまいたい」と叫ぶ声。「ダメダメ、そんなこと考えちゃいけない」と打ち消す声。いろいろな声が心の中にでてきます。そして自我がリーダーとなってまとめていくのですよね。

その中でも、土星の元型に憑依された声は特徴的です。とても権威があるように聞こえる。「ちゃんとしなさい」「それは間違っている」「もっと頑張らなければ」「あなたはまだ足りない」「お前はダメだ」

この声は、幼い頃に外側から入ってきたものです。親の言葉、先生の評価、社会のルール。それがいつの間にか内側に住み着いて、まるで「自分自身の声」のように聞こえるようになった。

私にもそういう「お前はダメだ」が無意識に刷り込まれていたのを最近気づきました。とある出来事で感情が異様に動いたことがあって、その感情がなぜ動いたのか考え内省し、箱庭などもつくって分析も受けて思い出したことがあります。

その感情をどんどん深めていくと、小学1年生のとき、私は作文を自分で捨てたことの感情があることがわかったのです。それは雪の朝の情景を書いた作文でした…普通に書いたら「読み物として面白くない」と幼い私は思ったのです。そこで一緒に雪を見ていた母親に「違うセリフ」を言わせていわば「創作」をしてみたのでした。でもその作文をお母さんに見せた時、言われたのです。「嘘を書いちゃダメでしょ」と。

胸の中で何かが、すっーと冷えた感覚がありました。「私はダメなことをした」という気持ちが、あっという間に広がった。

その後さらに感情が複雑に織り込まれていった出来事がありました。先生がその作文を褒めてくれて、全校の広報誌に掲載される可能性があることを、先生に言われたました。その時、私は恐怖を感じました。嘘の入った作文がみんなに広がったら、お母さんに怒られる。「お前はだめだ」と怒られる。その恐怖で頭がいっぱいになった私は、自分の作文を、自分の手で捨てたのです。

今の私が考えたら、お母さんが悪いわけではありません。大人としては当然の言葉だったと思います。

でもあの瞬間、小さな私の中に「正しくなければいけない」という信念が、静かに、深く刻まれた。さらに広報誌に載るかもしれない恐怖によって「自分の作ったものが注目されたら恐ろしいことになる」という信念も刻まれました。「自分は中心で目立ってはいけない」という声と闘ってきたように思います。

お母さんの「嘘を書いちゃダメ」という言葉はまさに「土星」です。さらに作文がみんなに広がってしまったら怒られるという恐怖や恥。その後無意識下で「知られることは怖い」「褒められることは怖い」という信念になってしまった。

でも、その声は「私(自我)」ではありません。これがとても大事なことです。

土星の声が響いている時、私たちはその声と自分を同一視してしまいます。「私がそう思っている」と感じる。だから反論できない。だから逃げられない。

でも少し立ち止まって、こう問いかけてみてほしいのです。

「今責めているのは、本当に私? それとも、私の中に住んでいる誰かの声?」

この問いを持てた瞬間、何かが少し変わります。声と自分の間に、わずかな隙間が生まれる。その隙間こそが、憑依から抜け出す入口です。

元型を意識すると何が変わるか

「土星の元型に憑依されている」と気づくことは、土星を否定することではありません。土星のエネルギーそのものは、本来とても大切なものです。責任感やコツコツ努力できること。それは人生を支える力になる。

問題は、土星の声が「私」を乗っ取ってしまうことです。

占星術のホロスコープには、その人の土星がどこにあるかが示されています。そしてその土星が他の惑星とどのような関係になっているかで、特に土星が響きやすいタイプというのもわかってきます。これを知ることで、「私はダメだ」で責め続けるのではなく、「ああ、今土星が動いているな」と、少し距離を置いて見ることができるようになります。

占星術では知性という観点でこのことを理解できます。

それがわかっても土星が強く動いている場合は、夢解きや箱庭表現セラピーで、自分の無意識を掘り下げていくことをお勧めします。私のように「過去の出来事で起こった心の動き」がはっきりし、絡み合っていたものが解きほぐされ、はっきり理解できるようになります。

これが憑依されない、ということの本質だと私は思っています。土星の声を消すことではない。その声が「私」ではなく「土星という元型のエネルギー」だと知ること。そしてその声を観察できる、もう一人の自分に気づくこと。

あなたの土星は、今この瞬間どのようなことを囁いていますか?

心理占星術セッションでは、まずはあなたのホロスコープを一緒に読みながら、土星がどこにいるか、どんな声として現れているかを紐解いていきます。

「なぜいつも自分を責めてしまうのか」「なぜ表現することが怖いのか」「なぜ頑張っても頑張っても足りない気がするのか」「なぜ好きと言えないのか」

そういう繰り返すパターンの奥に、必ず元型のエネルギーが動いています。それを言葉にして、意識の光の当たる場所に出してあげること。それだけで、責める声との関係が変わっていきます。

土星の声に飲み込まれるのではなく、土星のエネルギーを自分の力として使えるようになること。それが心理占星術セッションで目指していることのひとつです。個人セッションはこちらからどうぞ。

関連記事はこちらに→心理占星術とは〜普通の占いとの違い・星とユング心理学とつなげた理由


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