手術は成功した。なのになぜ、心が揺れるのか
手術が終わって、ほっとしたはずだった。でも、しばらくして気づいたらこんな状態になっていませんか?
- 術後から、些細なことで急に動揺するようになった
- 朝目が覚めると、理由のわからない重さがある
- 「奪われた」という感覚がどこかにくすぶっている
- 怒りともつかない、悲しみともつかない感情がある
- 以前より、人間関係で消耗しやすくなった気がする
手術後の回復には一生懸命取り組んだ。でもその後、メンタルが落ちてしまった。これを読んでいるあなたも、もしかしたら同じ経験をしているかもしれません。私自身がそうでした。
私の場合〜手術から1年半後に噴出したもの
50代に入り、子宮筋腫の手術で子宮を全摘しました。手術直後は、体の回復に必死でした。半年ぐらいは体力の衰えをすごく感じました。
手術終わった当日に、悪夢をみたので3年ほど教育夢分析を受けた分析家に夢分析を受けました。(詳細記事 手術後の夢が教えてくれた無意識の恐怖はこちら)その時はメンタルは落ち着いていました。
しかし手術から1年ほど経って体が落ち着いてきた頃から、少しずつ「ん?」と感じることが増えてきました。私はあまり不安になったりすることは少ないのですが、過去の人間関係で動揺することがありました。ここから「なぜこんなことが起きているんだろう」と思い自分の心と対話していったのです。この出来事は「自分の無意識の反映」という考えが私にはあるからです。何がこの現実を引き起こしているんかを徹底的に考えました。
この時は「人間関係で線引きする」ということを無意識から試された感じがありました。線引きするまでとても動揺しましたし不安になりましたが、この奥に「怒り」に気づけたのです。この時はそれで一旦落ち着きました。
そしてそれから3ヶ月ほど経った頃、朝目が覚めるたびに正体不明の不安感が広がるようになりました。なぜ今更? と思いながら、自分の内側を棚卸ししてみました。経済的な不安、AIの台頭への恐れ、老いていく両親のこと、私の老いていく感覚……現実的な不安はいくつもありました。でもそれだけじゃない、もっと深いところから来ているような感覚がありました。
特に「奪う、奪われる」という感覚が強く、過去にこんなことあったかなと心を掘り下げていったところ、子供時代に大事なものを盗まれた感覚を思い出したのです。「誰かにとられる」感覚。直近ではやっぱり手術だなと思ったのです。
私は術後、全身麻酔から目覚めた瞬間「大事なものをとられた!」と目覚めたのですよね・・・・。あれは、私の無意識がこの手術に「イエス」と言えなかった体験だったのだと、ようやくわかりました。
こんなに強く感じるものなのか・・身体の喪失のグリーフ
グリーフ(grief)とは、大切なものを失ったときに生じる悲嘆のプロセスです。グリーフというと、多くの人は「死別」を思い浮かべます。でもグリーフの対象は、人の死だけではありません。
身体の一部を失うこと。生殖能力が変わること。これまでの自分のある側面が、手術によって不可逆的に変わってしまうこと。これらはすべて、グリーフの対象です。
でも婦人科手術の後、誰かがそれを教えてくれましたか?「3ヶ月は自転車などは乗らないようにされてくださいね」それだけで退院する。心に何が起きるかは婦人科の先生は教えてくれません。
婦人科手術後の心理的な影響については、医学的な研究でも指摘されています。婦人科良性疾患であっても、手術前後に心理的ストレスが生じることが確認されており、特に子宮全摘出術では不安や抑うつに関連する項目で高いスコアが示されています。(「婦人科良性疾患がメンタルヘルスに及ぼすインパクトに関する検討」女性心身医学)
もし今あなたがそのような術後で心の揺れがあるなら、それは当たり前だと思います。それはグリーフ・・大切なものを失ったことへの、正当な悲嘆のプロセスです。ただ、誰もそう教えてくれなかっただけです。
そしてもうひとつ喪失の裏には「奪われた怒りや恨み」もあるということ。複雑にからみあった深い感情が揺さぶられるので、気持ちに言葉がつけにくくモヤモヤした状態になるのではないかと思います。
なぜ術後しばらくしてから、心が揺れ始めるのか
手術は体に鋭い刃物が入り傷つけられること、と考えると「トラウマ」を受けた状態です。自分が受け止めきれない大きなトラウマを受けると、無意識はダメージを受けすぎないように、恐怖や傷つきを感じなくさせようと心のどこかに切り離します。心は無意識のうちに「今は感じないようにしよう」という防衛をするのです。
手術直後は、身体の回復に全エネルギーが向かいます。体が回復してくると、今度は心がその感情を処理しようとし始めます。蓋をしていたものが、じわじわと表に出てくる。
ユング心理学では、意識が抑圧した感情は消えるのではなく、無意識の奥に沈んで別の形で表れてくると考えます。身体症状、朝の不安、人間関係でのトラブル、正体不明のイライラ……私の場合は「奪われた悲しみと怒り」が不安症状で再トラウマとして現れていたのではないかと思います。体の一部のお喪失がこんなに大きな悲しみと怒りがあり、それを気づいて欲しいと無意識から強いシグナルが送られてくることに驚きました。
占星術が教えてくれた「今いる場所」
手術の日の私のホロスコープはどんな影響があったか・・。
トランジットでは強烈なタイミングではないのですが、ソーラーアークでは天王星(進化占星術では「トラウマ」とも定義される)が私自身の体力を示すアセンダントにオーブ0.3度でほぼぴったりと乗っている時期でした。何年か前からこのタイミングは見ていたのですが、自分が手術になるとは予想していませんでした。天王星によって自分の体のあり方が大きく変わってしまう。天王星は、ひっくり返し、予測できない急変を表します。
そして手術後、1年後動揺することが多くなった頃は、トランジットの天王星がディセンダントに乗っていました。環境が急激に変化する落ち着きなくなるような配置です。さらにこの文章を書いてる時期はトランジットのカイロンが出生の月にかかっています。傷を理解し癒される配置。
自分がどの星の影響下にいるかを知ることは、嵐の中で地図を持つようなことです。今どこにいるかがわかるだけで、恐怖が少し和らぎます。そして進べきタイミングがわかってくるのです。
回復の道筋〜私がやったこと
ここからが、この記事で一番お伝えしたいことです。何か特別なことをしたわけではありません。でも振り返ってみると、回復に向かう上でこの3つが大きかったと感じています。
①夢に耳を傾ける
大変だったんだね・・と無意識レベルで語り合うことで無意識は「大変さをわかってくれた」と思うと思います。悪夢は無意識が傷ついた内容でしたからそれを気づかい、ねぎらい、謝ること。それを一人でやるのではなく分析家としたことです。夢は危機状態も示しますので、その時は誰かと大変だったことと見た夢を語ることは大事なことだと思います。
そして意識の上では「もう終わったこと」と処理しようとしていても、無意識はまだ感情を消化しきれていないことがあります。そのとき夢の中で、その感情が顔を出すことがあるのです。「奪い奪われる」という信念があることに気づいた数日して、私は夢の中で、理由もわからないまま号泣していました。目が覚めたとき、すっきりした感覚がありました。無意識のレベルで、手術に対する悲しみをやっと感じることができたのかもしれない、と後から思います。その数週間後、熱を出しました。そして熱が下がった頃から、朝の重たい不安感がずいぶん軽くなっていました。夢を記録すること、夢に出てきたイメージをただ眺めること。それだけでも、無意識の処理を助けることができます。
② 感情を「なかったこと」にしない
「もう終わったことだから、前を向かなきゃ」そう思えば思うほど、心の中の「でも悲しい」「でも怒っている」という感情は行き場を失います。夢があると「無意識で忘れている感情」が何かわかるのでまずそこで「こんな感情があるんたんだ」と認めること。私の場合は「奪われた悲しみと怒り」と認めることでした。感情を否定せず、ただそこにあることを許す。それだけでも、少し楽になりました。また逆に、自分が相手から奪った経験ないだろうかと過去のを思い出すこと。奪われた経験は「自分が相手から無慈悲に奪う」エネルギーがつくった現実とも考えられます。こんなふうに考えると気が滅入りますが・・・このことも考えると自分の古い信念がわかります。
③ 「今どの時期にいるか」を星で知る
先ほどもお伝えしたように、自分のホロスコープを見て「今この天体の動きの中にいる」とわかったことも、客観的に今の自分を知ることができます。しかし内側の心のエネルギーがこんな天体配置を「見せている」と考えることもできます。私の場合は「自分のキャラクターを大きく変えていきたい」という心のエネルギーが天王星のエネルギーを引き寄せた・・という逆のベクトルとして考えることもできます。それによって私は今後の人生の後半を違った生き方をしていきたいという覚悟がこの一連の流れを引き寄せたのかもしれません。内なる世界が外側を作っているとも私は感じています。
回復は「忘れること」ではない
グリーフの回復は、「なかったことにして前を向く」ことではありません。失ったものを悼み、その悲しみを十分に感じ、そしてゆっくりと新しい自分との関係を築いていくこと。それがグリーフケアの本質です。
子宮を失ったことは事実です。それは変わりません。でも、その体験に向き合うことで、自分の中に新しい何かが育っていく。私自身、手術という体験を経て、「喪失と再生」というテーマが以前よりずっとリアルに、深く感じられるようになりました。
それが今、セッションの中でお客様の喪失体験に寄り添うときの、私の土台になっています。
あなたの心の揺れにも、意味があります
婦人科手術後に心が揺れているあなたへ。今不安な気持ちが強くなっているなら、大切なものを失ったことへの、正当なグリーフのプロセスです。そしてそのプロセスには、星の言葉や夢のイメージが、静かに伴走してくれることがあります。
言葉にしにくいモヤモヤ、朝の重さ不安感、孤独さ・・・・それらを一緒に丁寧に解きほぐしていくセッションを行っています。気になった方は、ぜひ一度お話しに来てください。
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