悪魔骨髀 2002年4月20日発行
著者 由木礼
発行者 悪魔骨髀研究会
悪魔骨髀(あくまかるた)
私が版画でタロットを作ろうと思ったきっかけの、偉大なるカード。もう過去何度もブログに登場してます。この作者は木版画家の故 由木礼先生です。写真はあくまかるたの解説本です。
悪魔骨牌研究会は横浜の岩崎ミュージム内が事務局で、版画作家さんたちが研究していたそうです。私もメンバーの方に誘われたことがあったのですが忙しくて行けなかった・・今思えば参加しておけばよかったなーと思ってます。
由木先生は、銀座の老舗版画画廊、養清堂さんでも扱っているような木版画家だったのですが、フランス語や英語も堪能だったそうです。
そして発明家としても有名でした。
1番の発明は「由木ばれん」(ボールバレン)でしょう。木版画業界では有名です。ばれんは最後紙載せて、こするときの道具です。昔は縄を依って、竹の皮で包んだものですが、竹の皮が破れたりして、手入れが大変。由木ばれんは金属の小さいつぶつぶがついているばれんなので、手入れいらず。画期的な商品です。
あとは万華鏡づくりに凝ってたそうです、色彩についても研究していたらしく、コマつくったり・・・・コマにいろいろな色を塗ってまわすと色がまじりますね・・あんなコマです。どうやらそれはゲーテあたりと繋がるようです。
そして悪魔骨牌・・・。それは突然「あくまかるた」という言葉ひらめかれたようです。あまりにインパクトあるかわったカルタの名前なので、生前に先生に「なんでですか」と聞いたら、「いや突然言葉がおりてきたんだ」とおっしゃってました。この経緯は解説本にも書いてあります。
このカルタの象徴は15種類、火、天秤、竪琴、剣、家・・・などで、普通のタロットではなくあくまかるた独自の世界観によるものです。
本によると、先生は『悪魔学の原点「Malleus Maleficarum」魔女の木槌1486年 』という本を手にいれて、具象化したとある。
で、それがどんな本か調べたら「魔女狩りマニュアル」らしい。「言葉と論理が悪魔を生む」と最初のページに書いてあります。先生の悪魔という概念は、イデオロギーというものが、どれだけ人間を支配するかという話ではないかと思っています。
あと、解説本には「イメージを言葉にするこころ構え」のようなことも書いてあって、タロット占いをさせていただいている今、深くうなづいてしまうような、そんな言葉がちりばめられています。
この先生に会ったのは私が15年前に働いていたお店、主に版画を扱うギャラリーでした。
ギャラリーの社長は由木先生に木版画を習おうと思ったんだけど、先生の醸し出す雰囲気から、自分はここまでのアーティストにはなれないと悟り、作品は作らずにギャラリーを始めたと言っていたんですよね。やっぱり芸術家ってクレイジーなところがないとできなくて、それを社長は感じてしまったんだと思います。そして魔法をかけられたんだとも言っていました。
そして先生の死後、16年続いた店が閉店したのですが、社長は「魔法がとけた」と言ってました。
そして私も、多分・・・・あくまかるたに魔法をかけられて、タロットという版画の世界に踏み込み、そしてあくまかるた、ならぬ「サビはんカード」を作成したと思っています。継承というのは親でもなんでもない、たった数回しか会わない他人からも起こるのですね。
さらには、わたしのビジネスネームは結妃(ゆき)ですが、この名前は音としてふとひらめいておりてきてました。その後、良い字画の漢字を専門の占い師さんに決めてもらったのです。占い師デビュー後に、ギャラリーの社長に会った時、「あなた、なまえが「ゆき」にしたのね!!!!」と言われて、私も無意識に選んでいてちょっと怖くなりました。
生前、由木先生のこの苗字も実はビジネスネームで、魔術的に良い音だからこの名前にしたという話を聞いた気がしたんたけど、記憶違いかしら・・・・?(笑