ユング派の夢分析を西洋占星術家が受けている話

ユング派の教育夢分析を受けつつ、クライアントさんに夢解きをしています

チューリッヒ ユング研究所の分析家・臨床心理士・公認心理師の、夢告堂研究所の今井晥弌先生に夢分析を受けて、2023年現在3年経ちました。毎晩の私のちっぽけな夢がこんなに力強くメッセージを毎晩送ってくれていることに本当に感動しています。夢分析ってどんなもの?どんなことがわかるの?実際に受けて考えたことを書いてみようと思います。

なぜ受けたのか

私は自分の生まれた状況や家系のことで、「なんでこうだったんだろう?」という疑問がずっとあり、それによって自分の心にも影響があるのではないかと考えていました。このことは厄介なことに「問題には表面化していない」のです。もっと大きな問題になってれば占いや専門機関に相談していたかもしれません。

表面上困った問題は特にない、じゃあ別にいいじゃない・・・って絶対言われるだろうなっていう感じだったのです。他人に相談したってこの問題は、解決するわけでない・・・私の深い心の事すぎてなかなか他人に解決してもらうというのが難しい話だったのかもしれません。

私は高校時代に河合隼雄先生の「無意識の構造」を読んだのですが、衝撃を受けました。その頃から家からくる問題を背負っている自覚があったので、私は自分が夢分析うけたいと思ったぐらいでした。

その30年後、その時のことも思い出し、夢分析ならもしかして自分の家系に関しての何らかの解決があるかもしれないと無意識で感じて申し込みしたのだろうと思います。

夢分析と夢占いの違い

ここで夢占いと夢分析の違いを書いておきます。「こんな怖い夢みちゃったぁ〜」みたいなことってよくあると思うんですよね。そういう時は夢の意味を知りたいですよね!私もそうです〜。例えば黒いカラスがでてきたがこの夢は吉なのか凶なのか?など知りたくなるわけですね。

しかし夢解きはそれとはちょっと違います。夢にでてくる物はシンボルとして捉えるわけだけど、ではその物がその見た個人にとってどんな意味があるのかというのをとても大事にするわけですね。

例えば「バイクに乗る」夢だったら夢占いだったら、「スリルを味わいたい」とか「早く何か到達したい」とかそんな言葉として本やネットでは書かれている可能性が高そうです。

その意味はそれでいいんだけど・・・バイクがその人にとってどんな意味を持ってるのか?というのをもっともっと深めていくのが夢解きです。

「あなた」にとってどんな印象があるのか?

過去、自分が乗ってたらどんな印象があるだろう?事故ったりしたことがあったらどんな印象だろう?他人の事故を見てたらどう感じるだろう?今仕事で使っていたらどう感じだろう?

バイク一つでもその人とバイクの象徴の関係で意味は何層にもなっていきます。その中で自分にとってのコアな意味を浮上させていきます。

私だったら、以前中型を乗っていて、恐怖もあったけど、とても開放的にさせるものだった。あのスピード感が最高だったなぁ・・ということと、現実問題、年齢重ねたしもう乗るのは無理だな・・という寂しさなども出てきます。そうすると、私に取ってはバイクがもう体力的に無理だと諦めてしまったことのシンボルにもなってくるのです。

夢はそのままだと忘却してしまう

実は私は2018年から他のブログに自分の夢を記録しておりました。そのブログは昨年夢分析を受けるまでの夢をつらつらと記述していたのですが、その記事数なんと290記事!でもほとんど忘れてる。

そのブログを今見てみると一部は「なんか見たかもなぁ・・」って思い出すんだけど、ハッキリ意識化してなくてバラバラな状態のまま放置されているのですね。このイメージを例えると、

海にもぐって魚はとってきた。しかしその魚をイキの良いまま捌かずに、その魚の種類もろくに見ずに冷凍してしまって「この魚なんだっけ?食べれるんだっけ?いつ取ってきたんだっけ??」で冷凍庫にあるような。

もう解凍する気も味わう気もありません。魚は「魚をよく知っている人」に聞いて、イキが良い時にさばいて味わうと「ああこれはアナゴだな」とか「マグロだな」とか、美味しいとか美味しくないとか理解できるのですね。ですから夢は「目覚めている」人と一緒に、それらを明確にして、もう1度味わうことをしないと「眠り」のまま忘却してしまうと実感したのです。

夢に意識を向けるという意味で、夢日記はとても良いことだったと思うけれど、でもメモしただけでは私の場合はダメでした。

一方でこの3年の夢解きしてもらった夢は、自分の中で意識化されているので覚えているし、その物語の流れが把握できています。これはもの凄い差だと思います。

夢は小さな物語が積み重なって大きな物語ができている

ユング派では初回夢が今後の治療の展望を表す夢とされていて、とても大事に扱うそうです。

これはコロナで緊急事態宣言のでていた2020年の夏に見た夢です。その頃いろいろやり尽くした感があって、そろそろ実家に帰る時期ではないか?って思っていたのですが、こんな夢見て不思議だなと思っていました。その時はよくわからなかったのです・・。

でもこの夢を3年経って振り返るとものすごい夢だったなということがはっきりわかります。今2023年の未来をはっきり先取りしている夢ということがわかりました。

分析家の今井先生が、私の夢の長い旅を元型な宗教儀礼と結びつけてまとめてくださいました。こちらの本の共著書のURANIAは私です。

もしよければお読みくださいね。

西洋占星術とユング心理学

ユング派では「元型」という人類共通の心のエネルギーのパターンを考えます。占星術の惑星の象徴も神様たちなので、「元型」を表していますよね。これがどのような配置になっているか?を理解するのできることが占星術の素晴らしいところです。占星術の配置を知ると、「無意識に動かされていた元型」の物語が客観的に理解できます。でも夢分析を受けて、ホロスコープだけでは説明できない、さらに深いものを感情として体験していると感じています。

現代では心理占星術が広がっていて、ユングの思想と占星術を結びつけることをしています。リズ・グリーンさんは有名ですね。ユングの元型の考え方と占星術を結びつけてあって、それまで普通の占星術の本しか知らなかったので、20代で読んで感動した記憶があります。

またユングと占星術を考えている方は、マギー・ハイドさんですね。

私がユング派の夢分析を受けた今、マギー・ハイドさんの文章で考えさせられるところはこちら・・・・

占星術家にとって鍵となる問題は、元型が占星術のシンボルと互換性があるかどうか、ということで、この二つの繋がりは、ユング自身によって認められているように見える。

マギー・ハイド ユングと占星術 p145

これが占星術家としては気になるところですよね。はたして簡単につなげていいのでしょうか?

元型は、イメージであると同時に情動である・・・それが元型的イメージだとわかるのはそれが情動をはらんでいるためである。それに対して占星術のシンボルはクライアントによってではなく、占星術家によって作り出される。

マギー・ハイド ユングと占星術 p148

そこなんですよね〜〜〜!!!!!「元型はイメージであると同時に情動」!占星術の知恵だけ文字だけだと、上っ面だけなぞって理解したと思い込んでしまうパターンが多いのではと思います。だからクライアントさんにお伝えしても「借り物」でしかない。この元型を体験的に理解できるのが夢解きなのだと思うのですよ。

元型(あるいは元型的モチーフ)と占星術象徴のつながりは、見かけほどには単純なものではない。

マギー・ハイド ユングと占星術 p148

そうだと思います。夢の象徴をホロスコープにすぐ結びつけたくなるんだけど、そこはちょっと待つのが大事なことのようです。なぜならユング派のやり方で進めるなら、本当の無意識に動いてもらうためには、知的な理解で限定しないことが大事なことだと、よくわかったからです。

夢解きと占星術の違い

 ユング派の分析家で元型心理学をつくったジェイムズ・ヒルマンの本を読んで思ったことです。




この本の中で「頂上と谷」という論文があるのですが、私がその中で感じたことがあります。山の頂上は現世から離れた宇宙との最も近い接点です。高みを目指して高い俯瞰したところでの視点です。これは占星術の考え方だと感じました。客観的に心を理解するのが現代占星術です。

そして谷に降るのは不合理で曖昧な人間の感情の世界へ向かうこと。これは普段の生活の意識ではなく、暗い谷底へ降下いていく意識です。普段は闇の中で隠されていて自分が気づかない意識がこの谷底にあるのです。明るい意識では認めたくないようなものがいろいろ転がっているのがこの谷底。そしてこの谷底に何があるのか認識できるのが夢解きだと感じたのです。この絵は私の中でひらめいた図です。チャートには見えない上と下があるという考え方。

ユング心理学は「変容」を目指すのですよね。占星術もトランジットや人間関係で変容をめざすはずですが、出生図だけ抱えて頭だけで考えてしまって、変容が頭打ちされてしまうパターンも近年数多く感じます。

西洋占星術で理解したけど、気持ちがなかなか動かないとか現実がなかなか変容していかない・・そんな時は夢(無意識)を相手にする段階なのです。無意識と対話してくことで変容が促されるでしょう。私は長年自分のチャートを見続けてきましたが、冥王星や海王星の意味ははっきりとわかっていなかった。しかしその奥にある元型的なダイナミックな変容の働きを体験できるのは夢解きだと思うようになりました。

占星術は自己分析カルテ、夢解きは感情から癒し理解させる

例えば健康診断されてカルテが出ます。あなたは貧血ですよとか、コレステロール高いですよとかでますよね。もしちょっと不調であれば薬が処方されますね。薬は体のエネルギーを変えていきます。体重がオーバーだったりしたら、運動しなさいよとか言われることもあるでしょうね。

それと同じようにホロスコープは心を分析したカルテ、夢は治癒のための薬やトレーニングと考えてみてください。無意識との関わりをつなげ直すトレーニングが夢解きだと思います。知性ばかり使って魂との分断が普通になってきている現在、夢を通してその繋がりを思い出すのは、本当に大事なことだと思います。


そして夢は、自分の傷だけでなく両親の傷、ひいては一族のテーマの傷まで意識させます。ホロスコープも「傷」を表すシンボルはありますよね。もちろん大変な思いをされてきてそのシンボルを経験した方もたくさんいらっしゃると思います。ではそれをどう治癒させていけばいいんですか?という時に、ホロスコープの限界があると感じます。そこから先は夢解きが機能してくれると思うのです。夢には傷を治癒させようとする大きな力があります。

心の中にはさまざまな元型が住んでいますが、その中に必ず「治療者としての元型」があるようです。

ある人が病気になった場合、「治療者ー患者」元型が布置されることになり、病者は自分の外にいる治療者を求めることになるが、同時に彼自身の中にいる治療者も活性化されることになる。病気の人の中にある、心の治療者を「治療的要因」と呼んだりする。それは患者自身の中にいる医者なのであり、患者の外の世界にいる医者ぐらいと同じぐらい病気を治すのである。

A・グッゲンビュール・クレイグ 心理療法の光と影 p103

心の機能はほんとすごいですね!!みんなの心に「ヒーラー」が存在している。元型の働きは味方をしてくれていて、いつでも良い方向に向かわせようとしている。夢解きを続けると元型を活性化させますから、元型の一つである内面の医者やヒーラーのような存在が高まってくるのですね。

私が当初抱えていた家系のパターンは、はっきり理解できるようになりました。それによって自動的に動かされてしまう心の状態は少し客観的に観察できるようになりました。家系の「おばけ」の存在もいるのだなとわかったし、それと対決をしてしまたったし・・・これからどうなるんだろ?みたいなこともありますが、無意識の世界の素晴らしさとともに深さと濃さも味わいました。これは地味だけどすごいことだと思います。

夢を愛することは自分を愛すること

夢を愛することは自分を愛することです。夢は、「今までの自分がどのように自分の心を扱ってきたか」を示してくれたりします。いじめ抜いたりしてる人もいるでしょうし、辛すぎて何かを麻痺させてきてる人もいるでしょう。夢のメッセージを真摯に受け取ることで、その後の人生が自分の心を大事にしようという気持ちになってきます。

夢も占星術も「こころ」を表していますが、眺める位置が違います。占星術は客観的に自分のこころがわかる。どんな時期かということがわかる。自我の意識を未来に向けさせることで、心の新しいエネルギーは生まれます。

一方、夢は情念を伴った体験として直接理解されます。無意識レベルの情動は根底から人生を変容させる力があります。両方が組み合わさると魂の理解が深まり、この人生がぶれなく進むと経験から確信を持って思うのです。

占星術と夢解きの関連性について

夢分析を受けている時のトランジットや、祖先のシナストリーなど怖いぐらいのシンクロニシティがあったその報告です。

自分のためのユング派の夢分析勉強記事。

夢告堂のポッドキャスト 夢解きラジオ


私が指導を受けている夢告堂今井先生のポッドキャストです。私が司会でお話ししています。

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