夢分析で考えた幽霊船〜家系のシャドウが現れた体験記

ボロボロの船が、向こうからやってきた

ユング派の夢分析をうけはじめて2年ぐらいたった後、こんな夢を見ました。

オンボロのスラム街そのものみたいな船が、向こうからやってくる。みすぼらしくて、汚くて、近づきたくもない。なのに夢の中の母が「港に繋げ」と命令する。そして私は——嫌なのに、その命令に従って、船を繋留しているのです。

目が覚めて、まず感じたのは「あまりにもボロボロで嫌だった」という感覚でした。あの船を自分に引き寄せたくなかった。でも夢の中の私は、それをやっていた。

これがユング心理学でいう「シャドウ(影)」との出会いでした。これは「家系のシャドウ」だと思います。

シャドウとは何か

ユング心理学では、自分が認めたくない心の部分、意識の外に押し出してきた感情や記憶を「シャドウ(影)」と呼びます。

影の内容は、簡単にいって、その個人の意識によって生きられなかった反面、その個人が認容しがたいとしている心的内容であり、それは文字通り、そのひとの暗い影の部分をなしている。

ユング心理学入門 河合隼雄 培風館 P101

光があるところに必ず影ができるように、意識(光)が強くなればなるほど、その裏側に押し込まれたものが濃くなっていく。シャドウは消えるわけではなく、無意識の中でずっとそこにいます。

夢の中で「嫌いな人」「汚いもの」「ゾンビやおばけ」として現れるのが、シャドウの典型的な姿です。それは自分の一部でありながら、自分だと認めたくないもの。だから夢の中で他の誰かや何かとして現れてくる。

否定的な影が現れる夢

影には3種類あると考えると良いそうです。

まず個人的な影ーこれは自分自身の一部だと認めがたく、しばしば侮蔑的に他人に投影される個人的な性質や弱さのことです。次に文化的な影ーこれはある集団や文化が共有している一般的な特徴や欠点ですが・・・・たいていは偏見に満ちた態度やステレオタイプや、スケープゴートにするといった形で他の集団に投影されます。そして元型的な影ーこれはこころの奥深くに存在する未知の暗闇という、人類に普遍の性質です。

K.Aシグネル 女性の夢 誠信出版p135

単に自分が過去抑圧して忘れてしまったものだけでなく、深さのレベルはいろいろあるということです。それを知らないことはシグネルによれば「自分自身をごまかしていること」になると言います。

文化的な影は、シグネルによれば「夢の中にでてくる集団ならどんなものでも」ということだそうです。私の夢でも「偉い先生のいうことを聞く集団」というのが出てきたことがあります。これも偉い男性にいうこと聞かなくてはならないという私の影、または文化的な影が出てきたのかもしれません。

元型的な影。これはもっと無意識的だとシグネルは言っています。コロナ時代には人々はこの濃い影を多く感じているものかもしれません。巨大すぎて個人が立ち向かうには大変だ・・。

母の命令と、ふたをしてきた世界

夢を分析していくと、あの船の正体が見えてきました。過去の家系のご先祖がやり残した集合的な「ゴミ」がやってきたように感じました。

母は自分の生家は、とても貧しく苦しい家だったとよく話をしていました。苦労の多い、みすぼらしい世界と感じていた。私は夢分析ではその世界にふたをしてきた。見たくなかった。引き受けたくなかった。

夢の中で母が「港に繋げ」と命令していたのは、その象徴だったのだと思います。「あの世界から目を逸らすな」「向き合え」という、無意識からのメッセージ。

でも私は嫌だった。命令に従いながら、本当は従いたくなかった。その「嫌なのにやっている」という感覚こそが、シャドウと向き合う入口の感触だったのだと、今はわかります。

分析家の今井先生にこの夢を話すと、先生はこうツイートしてくれました。


シャドウは、見えないからこそ力を持つ

シャドウが厄介なのは、自分では見えないことです。自分の中にあるのに、自分のものだと思えない。だから無意識のうちに他の人に「投影」してしまう。「あの人が嫌い」「あの人が許せない」という強い感情は、実は自分の中のシャドウを相手に見ている可能性があります。

私の夢でも、中学時代のいじめっこが何度か出てきたことがあります。夢の中で「一度会ってみたら」と言われたこともあったけれど、その時の私は「絶対いや」と拒否しました。シャドウと直接向き合う準備が、まだできていなかった時期だったのだと思います。

幽霊船の夢はそれより深い層から来ていました。個人的な記憶だけでなく、母の家系という「集合的な重さ」を含んでいた。それがあれほどみすぼらしく、重く、嫌な感じだった理由です。

半年かけて、船から降りた

あの夢をきっかけに、母方の先祖の話を掘り下げるプロセスが始まりました。思いも寄らない曽祖父と祖母の関係性らしき物語が夢に現れ、半年ほどかけてそこから抜けていった体験です。

シャドウは本当に見えない。でもそれが夢という形で現れてくることで、「ああ、自分にはこういうものがあったのか」と気づくことができる。

気づくことで、そのシャドウに振り回されなくなっていく。抑圧してきた部分を少しずつ自分の中に引き受けることで、心の領域が広がっていく。心が萎縮していたのが広がるわけですから、その分、元気になれる。

シャドウの中にある「汚いもの」「みすぼらしいもの」の中にこそ、次の扉が隠れている。ユング派ではそう考えます。

古い先祖の写真との対面

夢分析を終えて3年後、地元に帰り地元のつながりが増えてきた時に、驚くような写真を目にすることになりました。それは母の一族20人ぐらいが昔の家の前で撮影した写真です。相当古い写真です。

私がうっすら覚えている着物姿の曽祖母が左の前に。さらに1番前には着物姿のお婆さん3人。誰も知らないので母に聞いたところ、そのうち1人は私の高祖母(曽祖母の上!)だということが判明しました。私の祖父祖母が若い姿で写っている。私の祖父は40代で亡くなっており遺影でしか知らなかったのですごく新鮮でした。

私が夢で「母の一族」イメージしていたバラック小屋みたいな感じではなく、みんな小綺麗で「お前がイメージしている一族とは違うぞ!」とご先祖様に言われたような気がします。「戦前から戦後を懸命に生きてきた人たち」を実感した写真でした。とても感動しました。私のシャドウであったものは、誇らしいものに変化したのです。

シャドウに気づくために、夢は語りかけてくる

理由のわからない怒り、特定の人への強い嫌悪感、繰り返す感情のパターン——それはもしかしたら、あなたの中のシャドウが語りかけているサインかもしれません。

夢はその入口です。怖い夢、不快な夢、汚いものが出てくる夢。そういう夢ほど、実はあなたの心が大切なものを届けようとしている。私が祖先の写真を見て感動したように、本当はすばらしものなのです。

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